●地方創生の実現について
野崎質問
昨年の10月26日に、本県は「美しい“ふじのくに”まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定しましたが、今年度中には、全国のほぼ全ての自治体が「地方版総合戦略」を策定し、国を挙げて地方創生の取り組みが本格化することとなります。
国も地方創生を進めるため、地方創生加速化交付金や地方創生推進交付金などの財政支援をはじめ、地域経済分析システム(RESAS)による情報支援、地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)の創設、生涯活躍のまち(日本版CCRC)構想の取組支援など、地方の自主的かつ主体的な取り組みに対する支援に本腰を入れています。
ただし、国は、全ての自治体に対して平等に支援を行うのではなく、真にやる気のある自治体に対する支援を行うことを明確にしており、まさに、これから激しい地域間競争が始まると言っても過言ではありません。
県は、こうした国の姿勢を真正面から受け止め、本県の活力を維持し、さらに伸ばしていくため、全力で取り組む必要があると考えます。
また、去る1月29日に総務省が発表した「住民基本台帳人口移動報告」では、本県の転出超過数は6,206人と、昨年と比較して1,034人の改善が図られ、実数で全国ワースト5位と、2年連続で記録した全国ワースト2位の位置は脱したものの、依然として非常に厳しい状況にあります。
私は、この状況が継続すれば、本県の国内における相対的地位が低下していくことを懸念しています。人口減少に歯止めが掛からない、こうした危機的な状況を打開するためには、地方版総合戦略を「作りっぱなし」にせず、地方創生を一時の看板に終わらせないようにしなくてはなりません。
総合戦略が、策定から実行段階に移る来年度に向けて、相当の覚悟を持って取り組むべきであると考えますが、目に見える地方創生の実現に向けて、どのような政策を打ち出し、取り組んでいくのか、知事の所見を伺います。
知事答弁
昨年10月に本県は、「美しい“ふじのくに”まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定いたしました。これは、静岡県の地方創生の道筋を示す羅針盤であります。本格的な実行段階に移る来年度予算案には、具体化に向けて様々な対策を積極的に盛り込んだところでございます。
地方創生と言いますが、これは私どもが進めております“ふじのくに”づくり、それ自体でございます。ただ、地方創生は全国の地方に対して成果指標が比べられるように、まち・ひと・しごとに応じた戦略体系を作れということになったわけであります。仕事については、我々は、新成長産業、新エネルギーであるとか、あるいは3万人雇用創出戦略、そして、産業成長戦略会議、オープンイノベーションを進めてきたわけであります。さらに、人につきましては、国は、合計特殊出生率1.8を目標にしておりますけれども、我々は2.0を進めておりますし、総合教育会議などを通じまして、人づくりを積極的に進めているわけであります。
そうした総合計画の中に書かれていることを国の成果指標にわかりやすくなるように組み替えたというものが今回の策定内容であります。ですから、新しいことをするのではなく、これまでの仕事を国に評価していただくように組み替えたというのが実情であります。
さて、まず、安全・安心でなくてはならないということでありまして、市町の地震・津波対策を交付金により引き続き強力に支援してまいります。レベル1を越える津波被害の最小化を図る「静岡モデル」の整備、全国の先導的モデルとなる「ふじのくに森の防潮堤づくり」等々、日本における防災先進県としての優位性が静岡にはございますので、これを一層伸長する取組を推進してまいります。
続きまして、仕事に関してでございますが、産業の振興と安定した雇用の創出に向けては、本県独自の産業成長戦略に基づきまして、ものづくり産業へのIoTの導入促進や、航空関連産業の振興、CNFを活用した製品開発の促進などを、官民一体で推進してまいります。また、静岡県ならではの魅力ある暮らしを提供し、新しい人の流れをつくるために、都内の移住相談センターへの広報担当の設置や、中央日本4県合同による首都圏プロモーションの拡充、広域的な移住体験ツアーの実施など、本県への移住・定住を促進する取組を強化してまいります。
子育て、人づくりに関しましては、若い世代の結婚、出産、子育ての希望をかなえる社会の実現に向けまして、企業等と連携した結婚支援や、妊娠・出産包括支援員の養成、子育て世代包括支援センターの設置促進、待機児童ゼロの早期実現に向けた保育所等の整備促進など、文字どおり、社会総がかりの取組を強力に推進してまいります。
これらの地方創生の事業に関連いたしまして、国の地方創生関連の交付金を積極的に活用して、伊豆半島の市町等と連携した「生涯活躍のまち構想」、いわゆる日本版CCRC構想の推進や、農業の成長産業化に向けた革新的な取組である健康長寿の産業化、ブランド化のための「農・食・健の産業連携」の促進など、新たな取組を展開してまいります。
本来、地方創生というのは、中央が主導してやるものであってはなりません。地域自立のための地方創生でありますから、自らそうした動きをしていないところがあるとすれば、そのための地方創生の、国の音頭とりであると私は自覚をもっておりまして、私どもは既にこうした地方創生に関わる取組を進めており、その中身が総合戦略でございます。しかもそれは、それぞれの時代に即応してなされねばなりません。今日御指摘ございましたような、スポーツ、地域外交、あるいは第一次産業、農林水産業、こうしたものは今の時点で必要でございますから、3つの戦略に入れまして、ダイナミックにやっております。もちろん、これ自体地方創生でありますから、地方創生の全国におけるモデルであるという確信をもって、この事業を進めてまいります。しかも、強く、しなやかなというのが国の方針でございますけれども、静岡県は、美しい景観に、美しい自然に恵まれている。また、そうしなくてはならないということから、我々は、あえて自らのアイデンティティとして、美しく、強く、しなやかな「静岡型」の地方創生を図るということを謳っているわけでございます。
こうした政策を目に見える形にしなければならないという意味では、皆様方と御協力して、オール静岡で強力に推進してまいりたいと考えております。
●東京オリンピック・パラリンピック、サーフィン競技会場の誘致について
野崎質問
「TOKYO」平成25年9月8日早朝、当時の国際オリンピック委員会会長のジャック・ロゲ氏が発した言葉に日本中が歓喜しました。その時の大会招致のスローガンは「今、ニッポンには、この夢の力が必要だ。」でした。
そして、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会が国際オリンピック委員会に対して、2020年東京大会の追加競技として、野球・ソフトボール、空手、ローラースポーツ(スケートボード)、スポーツクライミング、サーフィンの5競技団体による18種目を提案したことにより、今年8月に開らかれる総会で追加種目に正式決定される公算が大きくなっています。
静岡県は、一年を通じて温暖な気候であるほか、505.6㎞の海岸線を擁していることから、海に係るスポーツが盛んな地域であり、安定した波が寄せるサーフポイントに恵まれているため、プロ・アマを問わず数多くの大会が開催され、サーフィンの聖地として全国にその名が知られています。
県内では、東京オリンピックサーフィン競技会場の誘致に向けて、下田市では民間主導で署名活動が実施され、昨年11月12日に市に署名が提出されたことから市も積極的に招致に取組み、牧之原市では11月18日に市や観光協会、日本サーフィン連盟の関係者で招致準備委員会を設立し、磐田市では日本サーフィン連盟静岡3区支部(掛川、袋井、磐田、浜松、湖西)から、支部加盟のショップ、チーム、市体育協会など30団体の同意書を添えた誘致嘆願書が市に提出され、行政、スポーツ振興団体、産業界、観光振興団体、市民グループなど「オール磐田」による誘致体制を整えているところです。
そして、昨年12月25日に下田市長、牧之原市長、磐田市長の連名による「大会会場を誘致することにより、サーフィンの魅力や美しい自然環境等の情報発信、青少年育成等につなげるため、静岡県での開催の実現に向けて、力強い支援と協力をお願いする」という要望書が提出されました。
これを受け、去る1月6日に「県内の有力なサーフポイントである下田市の白浜大浜、牧之原市の静浜海岸、磐田市の豊浜海岸を有する自治体から、地元でのサーフィン競技開催を希望する声があがりました。これらの地域は、競技に適した条件がそろうとともに、地元関係者からも受け入れにも力を注いでいく意思が示されたことから、候補地として検討をいただきたく資料とともにお届いたします」との知事の書簡を添えて要望書が大会組織委員会会長あてに提出されたと伺っています。
しかし、こうしたチャンスを活かそうと考える自治体は静岡県に限ったことではなく、千葉県の九十九里浜、神奈川県の湘南海岸では、県知事主導で誘致に名乗りをあげている他、宮崎県、福島県南相馬市、愛知県田原市でも開催意欲を示していると伺っています。
すでに本県では、2019年ラグビーワールドカップがエコパスタジアムを会場として、2020年東京オリンピックの自転車競技が日本サイクルスポーツセンターを会場として開催されることが決定しており、更にサーフィン競技が本県で開催されることになれば、知事が年頭の挨拶で「ワールドカップと東京五輪を控えたこれからの数年は本県を世界にアピールする絶好の機会です。」と述べられているように、正に、その実現性を伺うように女神がウインクをしながら前髪をなびかせて我々の目の前に現れてきたわけであります。
さらに、サーフィンは海を舞台としたスポーツであり、本県が進める「沿岸・都市部の再生」「内陸・高台部の革新」「地域連携軸の形成」の三位一体で展開される「内陸のフロンティア」構想に更なる弾みをつける事業にもなり、本県が誘致を希望する市と連携を取りながら本腰をいれて取組む価値は大であり、今後の街づくりを考えていく上でも大きな意味があると考えます。
そこで、サーフィン競技の本県開催誘致に向けた知事の所見と意気込みを伺います。
知事答弁
東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会では、サーフィンをはじめ5つの追加競技種目について、今年8月の国際オリンピック委員会IOC(アイオーシー)総会において開催承認を取り付けるべく準備を進めており、今後、IOCから会場選定の基準や手順等の情報提供を受け次第、速やかに選定作業に着手する意向であるというように承知しております。
サーフィンは、若者を中心に人気の高いスポーツです。正式競技として開催が実現するならば、オリンピックに新しい風を吹き込んでくれるものと大きな期待を寄せております。本県は、何といいましても505kmを上回る海岸線があります。サーフィン競技にとって素晴らしい環境を持っております。全日本級別サーフィン選手権、日本プロサーフィンツアーなど主要大会が毎年のように開催されております。同時に数多くのトッププロ選手が育成されている県でもございます。
こうした中、議員の地元であります磐田市をはじめ、牧之原市、また下田市の3市から誘致の意向が示されまして、頼もしく感じたところであります。そこで、県では、去る1月6日に難波副知事が組織委員会を訪問いたしまして、各候補地の概況につきまして情報を提供し、過去の大会実績なども含め本県の優位点をしっかりとお伝えいたしました。
この対抗相手には、先ほど県議もご紹介されました宮崎、神奈川、千葉、福島、愛知のほかに、東京都の伊豆諸島の新島も有力候補という情報も伝わってきております。これらに対する優位性をしっかりとお届けしなくちゃならないと思っております。
また難波副知事が大会組織委員会のほうに情報提供をした後も、 それぞれの地域におきまして、行政と地元の競技団体が力を合わせ、
新たなる提案に向けた情報収集・誘致活動の盛上げに精力的に取り組まれていると承知しております。組織委員会へ更にこうした情報提供するつもりでございます。誘致実現に向け惜しみない協力をしたいと考えております。
私どもとしましては、誘致活動に取り組む市町が本県の優れた観光資源であるマリンスポーツに光を当てて、オリンピックはもちろんのことでございますが、様々な大会や合宿の誘致を通じて、それぞれの地域の特性を生かしてスポーツ文化を核にしたまちづくりにもつなげていただきたいと考えております。これに関連しましては、全力を挙げてご一緒に取り組んでまいりたいと存じます。
●スポーツ産業の振興について
野崎質問
静岡県総合計画(後期アクションプラン)では、次世代産業の創出として、グローバルに企業間の競争が展開される中で、本県経済が持続的に発展していくためには、経営者が次代の動きを先取りし、未来につながる産業構造を形成してことが必要となってくるとし、創業者やベンチャー企業の育成、スポーツ産業やICT産業、クリエイティブ産業など新しいサービス産業の振興に取組むとしています。
そして、静岡県経済産業ビジョンでは、管理目標として「スポーツ産業地域振興協議会の会員が創出する新事業件数」を平成29年度までに累計27件としています。
2019年のラグビーワールドカップの日本開催や2020年の東京オリンピック・パラリンピック、ジュビロ磐田のJ1復帰、ラグビーの五郎丸選手の大活躍、卓球の水谷(みずたに)隼(じゅん)選手、伊藤(いとう)美(み)誠(ま)選手のリオ五輪への出場決定など県民のスポーツへの関心が大いに高まっている中、これを機にビジネスとして静岡型スポーツ産業の振興が期待されます。
スポーツ産業は、「スポーツ用品産業」「スポーツサービス・情報産業」「スポーツ施設産業」などのスポーツ周辺産業が挙げられますが、近年は、これらが、独立した要素として存在しているだけではなく、これらの融合により、新しい産業が派生して、スポーツビジネスを構成するようになっています。
スポーツ用品産業でも近年では変化が見られ、従来のスポーツ流通は、メーカー→問屋→小売店という流れでメーカーは製造に専従していましたが、近年は、消費者に対し、より直接的で明確に自社ブランドのアピールを行う直営店の展開も見られます。
スポーツ産業は、大別して、「見るスポーツ」「するスポーツ」「スポーツを取り巻くもの」に分けられますが、スポーツ産業にとっては有望な消費者として期待ができるスポーツボランティアの存在や、「スポーツコミッション」も見直されています。
また、大学にはスポーツマネージメント系の学科を設置している大学も増えており、県内では富士常葉大学の総合経営学科のスポーツマネジメントコース、県立大学の栄養生命科学科、静岡大学の生涯教育課程、常葉大学の心身マネジメント学科、静岡産業大学のスポーツ経営学科などがあります。
経済産業部長答弁
本県は、西部・東部・中部地域に、産学民官のスポーツ産業振興協議会をそれぞれ立ち上げ、地域独自の資源を活用し、新たなスポーツビジネスを創出することで、交流人口の拡大や地域の産品の販売促進、さらにはスポーツに係るサービス産業やスポーツ用品製造業などの産業の振興を目指しております。
例えば、西部地域のスポーツ用具の製造企業が、旅行会社等と連携して実施した有料の「浜名湖ウォークフェスタ」では、昨年10月の参加者は3,000人を超え、宿泊客もあり、同時に開催した軽トラ市においても県産品が販売されるなど、大きな経済効果を生み出しております。
また、今年度から東部地域で始まった「伊豆回遊型ヘルスケア事業」では、温泉を利用しながら独自の体操等を組み合わせた健康増進プログラムを開発したところ、健康志向にマッチしていることから、旅行会社や健康保険組合から多くの引き合いが寄せられております。
今後は、東京オリンピック・パラリンピックやラグビー・ワールドカップの開催をチャンスと捉え、各協議会が関係機関と連携して展開する、ユニークで魅力あふれる事業を支援するほか、本県のものづくり力を活かした新たなスポーツ用品の創出を促進して、スポーツ産業の振興による地域経済の活性化につなげてまいります。
再質問答弁
ものづくり力を活かしたスポーツ用品の産業振興についてお答えいたします。
既に本県には大手のメーカーで世界のマリンスポーツのトップメーカーがあったり、ゴルフクラブを製造したり、あるいはいろんな形でものづくりをやっているメーカーがあります。
中小企業でも、ゴルフのキャディバックやあるいは、ベースボール、野球のユニホームを作っている県内、国内のトップメーカーのひとつもあります。いろんな形で、スポーツ用品、釣具とかもありますけれども、やってるところがございます。
先ほど議員がご質問の中でお話された中でありましたように、スポーツ用品というのは単品ではなくて、やはりイベントとかいろんな形で結合、融合してですね、販路を拡大していくことをいたしました。
浜名湖のウォークの関係では、ノルディックウォークということで、スキーのスティックのようなポールを使うウォークが、今、はやっておりますけれども、その関係でそのメーカーも売上げを伸ばしているということがあります。
さらにファルマバレーのプロジェクトで、今まで大腰筋の強化をするトレーニングマシンとその普及ということで、ジムを開設するということも県としては支援してまいりました。
今後とも、用品の開発、静岡県にはセンサー技術、あるいは、マグネシウムとかチタンとか新素材を使った企業もありまして、スポーツ用品へのチャレンジという意欲も寄せられておりますので、われわれとしては、それらを受け止めてしっかり支援をしていきたいと思っております。
●遠州大橋の無料化について
野崎質問

知事は、無料化前倒しを要請した県商工会幹部に、「早く無料化すべきだと思っていた」と無料化を前倒しすべきだとの認識を示し、磐田市掛塚と浜松市南区三新町を結ぶ有料道路「遠州大橋」(1.2キロ)の通行料無料化の前倒しを検討する意向を表明した。
これは、昨年12月2日の中日新聞の記事です。
遠州大橋は、静岡県道路公社が管理する一般有料道路で、国道150号線の掛塚橋の慢性的な渋滞の緩和と地域の産業・経済の発展に寄与する道路として、平成元年に開通しました。
しかし、平成22年度の道路交通センサスの結果によると、平日12時間当たりの交通量は、遠州大橋の約7千台に対し、掛塚橋は3倍近い約2万台となっており、現在も掛塚橋では通勤時間など渋滞が慢性化しています。
加えて、遠州南部地域に集積された中小・小規模企業は、リーマンショックや東日本大震災、長引いた円高不況、コストダウンや生産ロットの減少など経営が圧迫されている状況が続いています。
また、平成26年2月には掛塚橋の橋げたにトラックが接触する事故が発生し、5日間に渡り掛塚橋は通行止めとなりました。この際に緊急の迂回路として遠州大橋の無料化はなされず、多くの方々が不便な生活を強いられました。
県が策定した「防災減災・地域成長モデル『内陸のフロンティア』を拓く取組」の全体構想では、4つの基本目標「防災・減災機能の充実・強化」「地域資源を活用した新しい産業の創出・集積」「新しいライフスタイルの実現の場の創出」「暮らしを支える基盤の整備」と、3つの基本戦略「沿岸・都市部のリノベーション(再生)」「内陸・高台部のイノベーション(革新)」「多層的な地域連携軸の形成」を掲げています。
そして、「太平洋岸の沿岸・都市部にあっては、都市の利便性を失うことなく、これまでよりも一層の安全性を高め、再生する。沿岸・都市部と内陸・高台部の両方の地域が、それぞれのポテンシャル=「場の力」を活かすことによって、均衡のとれた経済社会を形成する」としています。
更に、構想では総合特区制度において「沿岸・都市部のリノベーションモデル」として、吉田町、袋井市、磐田市が取組みを先導する区域に位置付けられています。
しかし、現実はどうでしょうか?
声高らかに掲げた、基本戦略の「沿岸・都市部のリノベーション(再生)」は、県が主導して進めている「内陸フロンティア推進」の指定数からいっても、力強く推進されているとは言い難いものがあります。
これまで沿岸区域の市町は知恵をしぼり、汗をしながら様々なまちづくりを進めてきました。
そして、その延長線上に現在の生活や産業が存在しているわけです。
沿岸部に光をあて暮らしや産業を支える具体的な施策として、遠州大橋の無料化を一年でも前倒して進めるべきと考えますが、知事の所見を伺います。
交通基盤部長答弁
国道150号バイパス遠州大橋は、喫緊の課題となっていた国道150号掛塚橋の一日も早い渋滞緩和を実現するため、静岡県道路公社が建設に要する費用52億円を金融機関等から調達し、有料道路事業により、通常6年程度かかる長大橋の建設を2年という極めて短い工事期間で完成させ、平成元年9月に供用を開始いたしました。
その後、遠州大橋の利用交通量は順調に推移してまいりましたが、平成19年度に国道1号新天竜川橋が8車線化されて以降、遠州大橋の利用車両の一部が国道1号に回ったことにより、通行料金収入が減少に転じ、現時点で約30億円の返済金が残っております。このため、前倒しして無料化するには難しい状況にあり、有料道路事業の許可期限である平成31年9月からの無料化を見込んでおります。
県といたしましては、掛塚橋の渋滞の緩和や地域の産業振興を図るため、引き続き、国道150号バイパスの延伸整備を進めることにより、遠州大橋の交通量の増大に努めてまいります。
●地域スポーツクラブについて
野崎質問
近年、教育活動の中で欠かせない、特別活動、スポーツ活動、文化活動などを行うにあたり、児童・生徒の減少による学校の小規模化に加え、教員の多忙化、あるいは指導者不足などの課題が様々なところで指摘されてきました。
その問題解決に向けて、学校と家庭、そして地域との連携、あるいは協働、さらには地域・企業等の外部人材の活用など、社会総がかりで対応していく「社会総がかりの教育に向けた地域人材の活用(人材バンク)」といった視点から、解決を図ろうという議論が進められてきたと認識しています。
地域スポーツクラブの設立については、昨年7月に開催された第2回地域自立のための「人づくり・学校づくり」実践委員会において、委員であるヤマハ発動機ラグビー部監督の清宮克幸氏から「指導者にも施設にも恵まれ、自力で部活動を運営できる学校は、これまでどおり各学校で部活動に取り組んでいくこととし、指導者のいない学校や部員数が確保できない学校の部活動については、地域で支援していく必要があるのではないか。このため、市やプロスポーツクラブ、大学等と連携して地域のスポーツクラブを立ち上げ、部活動等を支援していったらどうか」という提案がありました。
この提案を受け、昨年9月の第3回総合教育会議において、「学校の先生を応援するとともに、学校の先生が本来の業務に邁進できるように、社会総がかり、地域総ぐるみで子供たちを育てていくという思いで、人材バンク・地域スポーツクラブを立ち上げていく」そして、制度化に向けては、モデルケースとして、プロスポーツクラブや大学等を抱える磐田市でスタートし、その成果を踏まえ、他の市町に拡大していくという知事の提案が全委員の賛同を得て了承されました。
これについては、私も賛意を表するとともに応援をして行きたいと考えています。
しかし、議事の締めくくりに知事が「会議の中で出された課題や提言をしっかり踏まえながら進める」と述べられたように、この取組みは平成28年度からスタートしますが、制度設計が全て整ってのスタートではないというのが実状のようです。
そこで、地域スポーツクラブは、子ども達が取組むスポーツの選択肢の拡大と教員の多忙化の解消を図るために設置されるものだと認識していますが、地域スポーツクラブは、学校体育・社会体育のどちらに根差した取組みになるのか。
また、事業の主体や県と市の連携、事業の費用負担や事故等の保険制度等はどのようになるのか。
そして、この制度の将来展望をどのように描いておられるのか。
教育長の所見を伺います。
教育長答弁
県民の生涯スポーツを推進する際には、地域に希望する種目を行えるクラブがない、また指導者がいないなど、多様なスポーツニーズに対応できていない課題があることから、地域の人材や設備などのスポーツ資源を活用したスポーツクラブの組織化が必要となっています。
また、議員御指摘のとおり、中学生・高校生のスポーツを取り巻く環境は、少子化に伴い、選択できる部活動が減少するとともに、指導する教員の多忙化や専門的な指導ができる人材の不足など、多くの課題が生じております。
そこで、県教育委員会では、磐田市をモデルに、社会体育をベースにしながら部活動などの学校体育と連携していく、新しい形態のスポーツクラブの創設を目指しております。県、磐田市及び関係団体で構成する推進委員会を設置して、指導者及び施設の確保、実施種目の選定などを調整してまいります。
本スポーツクラブの事務局を磐田市に設置し、平成28年度は、人件費などの事務局経費を県が負担し、会場使用料などの活動経費を磐田市が主に負担します。また、生徒が安心して活動できるよう、活動中の事故対応は公的な保障制度や民間の保険などの活用を検討しております。
本モデル事業を3年間実施し、スポーツクラブの効果的な運営の在り方や自立に向けた自主財源の確保など様々な課題について検証を行い、ここで得られた成果を、他の地域にも普及、拡大できるよう取り組んでまいります。
再質問答弁
只今二つの質問をいただきました。一つはいわゆる社会体育か学校体育かということです。
これはむしろ、双方が連携してやれるということ、場合によってはむしろ相乗効果が生まれるんじゃないかと。要するに国体とか色んなことを考えていくと、学校体育もそうですし、それから社会体育も含めて考えられる。むしろ私は、相乗効果も含めて考えると、非常にいい方向に行くんじゃないかと、そんな風に考えています。
●男女共学となった高校のグランド整備について
野崎質問

静岡県においては、制度上の男子・女子の指定校はありませんでしたが、平成17年度まで実質的に女子生徒のみが在籍する高校がありました。
しかし、時代の変化とともに男女共学を望む声が高まってきたことから、平成2年度の「入学選抜者制度に関する研究協議会報告」において、「共学化について検討すべきである」との答申が出され、県教育委員会では、実質的に女子校であった学校の共学化を公表(周知)し、男子生徒の入学を促進しながら共学化の推進を図ってきた経緯があります。
これにより、平成4年に下田南の普通科、富士宮東。平成7年に吉原、大仁。平成9年に掛川東。平成11年に磐田北。平成12年に藤枝西。平成15年に沼津西。平成16年に三島北。平成17年に清水西、静岡城北、浜松市立の各高校が共学化されました。
この共学化にあたっては、学校施設のトイレや更衣室など共学化対応整備も行われてきましたが、グラウンド等については、共学化に伴い移転整備を行った学校以外はグラウンドの広さは変わらず、県内の高校のグラウンドの広さの平均22,544㎡に比べ14,987㎡と7,557㎡ほど狭くなっています。これは公式サッカー場の最小面積でいえば2面の広さに値します。
そこで、課題となっていることは、グラウンドの中に女子の部活だけでなく男子の部活動も加わり、手狭なグラウンドをお互いに気を使いながらシェアして使用しなければならない状況が生まれたことです。
そこで、各高校では必要に応じて市内のグラウンドなどを使用しながら対応しているわけですが、市内のグラウンドを使用する場合に高校生に対する使用料の減免措置をしている市や町はほとんどなく、この使用料は父母会や学校の団体予算の中から捻出をしているのが実状です。
こうした実態を踏まえ、平成21年に私は地元にある磐田北高校の野球部の父母の方から相談を受けました。当時市議会議員でありましたが、その年の6月11日にPTA会長、学校教育振興会会長、父母会会長の連名で、県教育委員会に対応をお願いに伺いましたが、事態の大きな進展は見られず今に至っています。
こうした課題は、直面する子どもや父母に関わってくる問題でありますが、学校生活は3年と短く課題として継続的に取り上げられていないのが実状のようです。
2月23日に策定された「ふじのくに『有徳の人』づくり大綱」では、「有徳の人」づくりに向けた基本姿勢を学問、スポーツ、芸術という「文・武・芸」それぞれの分野で、一人一人の能力を伸ばす教育を実現していくとし、宣言文の中でも「文・武・芸三道の鼎立を実現します」と掲げられています。
これらの実現には、教育環境の整備は欠くことのできない大切な要素であります。
そこで、教育長にこうした課題に対するこれまでの対応と今後の方針・取組みを伺います。
教育長答弁
本県では、平成3年3月「静岡県立高等学校入学者選抜制度等に関する研究協議会」の報告を受け、当時、女子だけが在学する県立学校について、校地の買い増し及び校舎等の増築・新築は行わないとする考え方により、共学化に向けた整備を実施し、平成17年度にすべての県立高校が男女共学となったところであります。
県教育委員会では、男女共学に伴う新たな部活動の創設に対応するため、各校のグラウンドにおいて、野球部、サッカー部用の防球ネットを設置するなど、学校に隣接する地域住民等への安全対策と部活動の環境向上を図ってまいりました。
こうした中、複数の部活動でグラウンドを計画的に使用することを原則としながらも、校内だけでは活動が制約され、その解消のため、校外に活動場所を求めている学校があることも認識しております。
このため、共学化した高校の校外でのグラウンド使用に伴う費用負担のあり方について、同様の課題を抱える学校の実情を踏まえ、学校経営予算の配分を考慮するなど、公平性の観点から検討してまいります。また、将来的には、校舎等の改築が必要となる場合においては、配置等の見直しを行うなど、グラウンドの拡充を図ってまいります。
再質問答弁
高校のグラウンドあるいは施設のことですが、このことについては、費用負担のこととスケジュール感だと思いますが、少し精査させていただいて、公的なもので動いているものですから、それなりにちゃんと配慮していきたいと、そのように考えています。