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令和2年12月定例議会 一般質問・答弁 全文
2020年12月21日
令和2年12月定例議会 一般質問・答弁 全文


質問内容は下記の6項目です。
下記の質問項目をクリックすると、その質問内容が表示されます。

1.知事の数々の不適切な発言について
2.総合教育会議と教育委員会の在り方について
3.停電防止のための予防伐採の推進について
4.乳幼児期からの難聴児支援の充実について
5.人・農地プランによる農地バンク事業の推進について
6.新磐田スマートインターチェンジを活かす道路整備について


1.知事の数々の不適切な発言について

(野崎質問)

 初めに、知事の数々の不適切な発言について伺います。
 今議会では、他の議員からも同様の指摘も出ていますが、議長の許可も得ていますので、改めて伺います。
 今年2月の代表質問で、私の「やくざ、ゴロツキ」「反対する人は県議会議員の資格はない」といった発言について、これまでの、自らの言動をどのように総括し、今後、どのような身の処し方を考えているのか?との問いに
知事は、不適切な発言のあったことを認め、全て撤回する。議員をはじめ、不信を抱かれた方々に、また御心配をかけた方々にお詫びする。ごめんなさい。今回のような不適切な言葉を使うことは今後二度としないと、心に誓っている。と答弁されました。
 二度としないと心に誓った知事に対し、二度目の同様の質問をするのは心苦しいのですが、あれから9カ月余り、知事はどのようなことを考えてこられたのでしょうか?
 山本周五郎さんの小説「さぶ」にこんなシーンがあります。
 表具職人の「栄二」は、仕事の腕もよければ、男前で頭も切れる。
 そんな、栄二に、年配者の「与平」が、こんなことを語り掛けます。
 どんなに賢くっても、人間、自分の背中を見ることは、できないんだからね。
 能ある一人の人間が、その能を生かすためには、能ない幾十人という人間が、眼には見えない力をかしているんだよ。ここをよく考えておくれ、栄さん。
 こんな与平の言葉に知事はどのような感想を持たれるのでしょうか?
 他人からはよく見えるけれど、自分では直接見るコトが出来ないのが「自分の背中」です。
教養とは、学問・知識をしっかり身に付けることによって養われる「心の豊かさ」だと思います。
 世のキーパースンたる人間は、偉才をはなつ人間でなくてもいい、ただひたすらに世に尽くす、熱意と誠意があればいい。
 これは、天賦の才能はなくても、心を傾け、身を努める、姿勢と実践により、誰でも達することのできる領域だともいいます。
 そして、大小さまざまな組織の要となり、世の礎となりうる必要条件は「人の心がわかる」ことです。
 人が社会を構成し、生活をし始めてから数千年の歴史を紐解いてみれば、それは確かなことだと思います。
 「人生いろいろ」とはよく言ったセリフで、「いろいろ」とは「様々」とも表現されます。
 「様々」な生き方を否定するつもりはありませんが、中には「何様」という生き方もあるようで、時折、眉を顰めたくなる人に出会うこともあります。
 知事は、職員への訓示で「ですます調」で話をすることを訴え、「上にはへつらわない、下には威張らない」「節義を重んじ、礼節を失わない」というのが公務員八箇条の中に入っている。そうしたものは言葉遣いから始まる。こうしたことを徹底すれば、ぞんざいな言葉で、気が付かないで相手の心を傷つることは軽減される。と述べています。
 しかし、今年8月5日の記者会見では、静岡市長、市議会は天下に恥をさらした。市長は市議会を、市議会は市長を隠れみのにしている。静岡市議会の一部の有力議員は、昔から、金権体質、あるいは利権体質と、黒い噂が絶えない。市長も、悪く言えば傀儡みたいと、報じられることもある。徳川家康公に恥ずかしいというふうに思っている。と人を罵しり。
 7月21日のリニア工事の視察では、「作業ができない。これは一体誰のせいなのか。静岡県が遅らせていると言っているのは誰か。水嶋ですか! 江口ですか! 藤田ですか! それともJR東海の社長・副社長ですか!」と激怒し、事務次官らを呼び捨てにしました。
 更に、10月7日の会見では、菅義偉という人物の教養のレベルが図らずも露見した。菅義偉さんは、秋田に生まれて、小学校、中学校、高校を出られて、東京に行って、働いたけど勉強せんといかんと、夜学に通い、学位を取られた。言い換えると、学問をされた人じゃない。単位を取るために、大学は出られた。ところで彼の教養はどこで作られたんでしょうか。と述べています。
 これを受け、10月16日に我が会派では、これは個人への侮辱、誹謗中傷及び学歴への差別とも取れる発言であり、看過できず強く撤回を求める抗議文を提出しました。
 その後の、ぶら下がり会見で知事は、事実認識が間違っていた。1つは学歴について夜学と申し上げたことが事実でなかった。事実誤認の発言は誤りなので、撤回します。と述べていますが、これは発言に誤認があったので撤回しているのみで、夜学へ通われたことや、単位を取るために大学を出た。彼の教養はどこで作られたのか。など、自らが発した個人への侮辱、誹謗中傷には言及しておりません。
 知事の発言に対して県民からは、首相の出自や学歴を出して、教養がないというのは差別である。夜学に通っている人を馬鹿にしているのか。など10月7日から25日までに、1,543件の意見が寄せられました。
 また、会見では、強い権限、権力、年齢とかかわりないが、そういう方で間違っていると思ったことは、自分のいわば全身をかけて、人格をかけて批判はするというスタンスに変わりはありません。と述べていますが、この言葉はそっくりそのまま知事にお返ししたいと思っている方も多いことと思います。
 縷々知事の不適切な発言について述べてきましたが、こういう発言を首長として、言っていいか悪いかは、3秒考えれば分かることだと思いますが、今年1月6日の定例記者会見での「感情が動きます。しかし、それは怒りになる。自分自身もよくそうした自分の性癖を自覚している」との言葉の通り、知事の口から発せられる不適切な発言は止まる所を知りません。
 こうしたことに対し、意見する人もいないようで、静岡県外の教養人からは、「静岡県はおかしい」との声も聞かれ、世間の静岡県に対する目は、既に後戻り困難なほどに厳しくなっているようです。
 これだけでも大きな損害ですが、このまま不適切な発言を続ければ、静岡県全体の心証を一層悪くするだけだと思います。
 そこで、伺います。
 知事ご自身に対してこういう言葉を使われたとき、不快に思われるのか?思われないのか?
 県職員が記者会見等で他者に対してこうした発言をした場合は注意をされるのか?されないのか?
 代表質問以降のこれらの知事の発言は適切だと思うのか?思うのだったらその理由も伺いたい。
 夜学に通われている方など、傷ついた県民に対して謝罪する気持ちはないのか?ないとしたらその理由も伺いたい。
 不適切な言葉を使うことは、今後二度としない。と心に誓いながら不適切な発言を繰り返す、知事の真意は何なのか伺います。
 「自分自身もよくそうした自分の性癖を自覚している」と述べている自らの性格をどのように評価しているのか伺います。
 以上、知事の所見を求めます。

(知事答弁)

 野崎議員にお答えいたします。私の数々の不適切な発言についてであります。
 議員御指摘のとおり、今年2月以降におきましても、私の発言には不適切なものがあり、県民の皆様には大変御心配をお掛けいたしました。私の発言により傷ついた皆様には、率直にお詫びを申し上げます。
 私の性格についてでありますけれども、議員御指摘のとおり、自分の背中は自分では見えません。自分の目は自分で見ることができません。ですから、私自身による自己の性格分析は当てにならないと思いますが、身近な者の評価は、当たっているところがあるのではないかと思います。弱いものはいじめない。権限や権力を持つ人に対しても、間違っていると思ったことは、はっきり申し上げる性格であるようであります。
 思い起こすことがございまして、小学校1年生・2年生の時にマツザカミチ先生という先生に教わりました。私は京都の小学校を出たんですけれども、やがて50を過ぎまして、京都の研究所に勤めました。ある折に、そのマツザカミチ先生が京都の社会教育のトップにいらっしゃいまして、あのマツザカミチ先生だと思い、御挨拶に参りました。そうしたら、40年以上経っていたんですけれども、先生憶えていらして、そして、クラスの仲間といたずらをすると。その時も、率先して謝っていたと。そして、嫌なことも嫌な顔せずに、進んでやっていたと、等々おっしゃって、そして、子供の平太君を私は尊敬していたのよ、と言われまして、面食らうと言いますか、先生の愛情の深い人格に深く感じ入ったことがございました。
 また、ベートーベンの精神とか、宮沢賢治の精神とかに深く共感するところがありますが、そうしたところも自分の性格と関係しているのかもしれません。時に義憤に駆られまして、発言内容が物議を醸すことがございます。
 私自身に同様の発言が向けられれば、おそらく、間違いなく傷つくと存じますけれども、もしそれが当たっていれば、改めるように努めると思います。十分に自戒に努めまして、不適切な発言をしないように、自らに言い聞かせています。
 職員に対しては、ということでございますが、公務員八箇条あるいは公人三則というのは、私が自ら書き記したものであります。公務員、ここにいらっしゃる皆さんでありますけれども、身に私を構えないと。嘘・偽りは言わないと。上にへつらわず、下に威張らないと。礼節は弁えると。人の患難はこれを見捨てないと。恥ずかしいことはしないと。信念を曲げずに情理を尽くして説得に当たると。もののあわれを知り、人に情けをかけるということでございますが、これは、自らに言い聞かせ、また、折に触れて、職員の皆様方にも申し上げていることでございます。
 今後とも、こうした公務員八箇条、あるいは、「来るものは拒まず」、「助力は惜しまず」、「見返りは求めず」という、自らに課している公人三則ということに、一層心掛けてまいりますので、県議会の皆様の御理解、御協力を賜りますように、お願いを申し上げるものであります。
 その他の御質問につきましては、副知事、関係部局長及び教育長から御答弁を差し上げます。



2.総合教育会議と教育委員会の在り方について

(野崎質問)

次に、総合教育会議と教育委員会の在り方について伺います。
 平成27年4月の地方教育行政の組織及び運営に関する法律の改正により、知事は静岡県総合教育会議を設置し、社会総がかりの教育を目指した教育行政をスタートさせました。
 この静岡県総合教育会議では、重点的に講ずべき協議事項として、これまで、教職員及び高校生の国際化など25の事柄がテーマとして協議されてきました。
 教育行政の制度改正にあたっては、「政治的中立性」「継続性」「安定性」を確保すべき、首長から独立した執行機関である教育委員会と、教育に関する予算の編成等の重要な権限を有する首長との十分な意思疎通を図ることとしたのは当然のことです。
 しかし、教育行政の推進にあたっては、この総合教育会議のほかに、知事の諮問機関である、地域自立のための「人づくり・学校づくり」実践委員会も設置され、この委員会は総合教育会議に先立ち、知事がその意見を聞くことになっています。
 ここで問題になってくることは、知事の教育についての考え方と教育委員会の方針との齟齬であります。
 静岡県における教育委員会と知事部局の関係について、静岡大学大学院教授、武井敦史氏の論文を参考に考察すれば、公教育に関係する2つの行政主体が、それぞれの行政意思を行使しようとする際に生じるベクトルの不一致は、その後の処理のプロセスを複雑化させているようにも見えます。
 教育委員会制度の運用において、教育行政のステークホルダーとしての首長と教育委員会の意思が、予定調和的に解決されない場合、組織の意思決定や施策の執行に関しても、問題が生じると考えます。
 すでに、教育行政は教育委員会の他、首長、議会、県民といった多様なステークホルダーによって、事実上構成されており、教育委員会は、これら全体を組織化するオーガナイザーとしてではなく、一プレーヤーとして、自らの役割を自己規定せざるを得ない、位置に置かれているようにも見えます。
 教育行政における教育委員会制度の在り方については、制度の整合性やその役割について、制度上の権限関係とは別に、実質的には首長部局と教育委員会、さらには教育委員会事務局との間に働く、政治的力学が働いているようにも見えます。
 そこで、今後とも教育行政の独立性が維持されなければならないと考える場合、首長はじめ諸々のステークホルダーの影響力が、いかなる内容において、またどの程度まで働くことが許容されるものと考えるか?
また齟齬が露呈した具体的な事例はあるのか?
そして、今後の教育行政はどのように進められるべきか?
教育長の所見を伺います。

(教育長答弁)

 総合教育会議と教育委員会の在り方についてお答えいたします。
 総合教育会議は、平成27年度に、予算編成権を持つ知事と、教育行政を担う教育委員会が公開の場におきまして、教育の条件整備など重点的に講ずるべき施策について協議・調整する場として設置されました。
 総合教育会議での協議では、両者が教育施策の方向性を共有し、調整がついた事項につきましては、その結果を尊重して、一致した考えの下、それぞれの権限に基づいて執行しております。また、毎年度末の総合教育会議では、翌年度の施策への反映状況を両者で確認するとともに、教育現場が直面する課題等について協議し、翌年度の議題を決定しております。
 これまで、総合教育会議におきまして、知事と私と教育委員の方々が膝を突き合わせ協議・調整したことにより、例えば、ふじのくにグローバル人材育成基金の創設や、静岡式35人学級編制の下限撤廃、しずおか寺子屋による学習支援など、「静岡ならでは」の魅力ある教育施策が速やかに実現されたところであります。
 県教育委員会といたしましては、引き続き総合教育会議の中で知事と綿密な連携を図りながら、県民の皆様の御意見や、学校・地域の実情を適切に施策に反映させ、教育委員会が責任を持って教育行政を進めてまいります。
 以上であります。



3.停電防止のための予防伐採の推進について

(野崎質問)

 次に、停電防止のための予防伐採の推進について伺います。
おととしの台風24号では、磐田市や浜松市など静岡県西部を中心に最大72万件の停電が発生し、山間部では1週間近く、電気のない生活が続いた地域があり、その停電の発生原因の6割が倒木によるものでした。
そして、昨年の台風15号と19号では、県東部でそれぞれ約4万5千件の停電被害が発生し、そのうち約6割は倒木による電線の断線が原因だったといいます。
 こうした倒木等を原因とする大規模かつ長期間の停電は、県民生活や経済活動に多大な影響を及ぼします。
 今年の2月議会において、我が会派の宮沢県議の質問に対し、県からは、地域局ごとに推進連絡会を開催するとともに、地震・津波対策等減災交付金にメニューを新設し市町を支援するほか、県管理道路の法面対策や森林の面的整備を活用して予防伐採を進めるとの答弁があり、現在、磐田市などで県や市町と電力会社が協力して、停電防止のための予防伐採が進められています。
 しかし、今回伐採できたのは県全体からすれは一部に過ぎず、長期的な取り組みが必要であり、また市町が、単独で取り組むには費用的な限界があります。また、電柱や電線などの配電設備がある場所は、国や県、市町の官公有地より、民有地の方がはるかに多く、民間の理解や協力も欠かせません。
 本年度は、幸いにもこうした被害はありませんでしたが、新型コロナウイルスの影響等もあったことから、予防伐採は予定どおり進捗しているのか、現状の課題と今後の取り組みについて伺います。

(危機管理監答弁)

 停電防止のための予防伐採の推進についてお答えいたします。
 近年、本県におきましても、倒木等に起因する大規模な停電が発生したことから、関係機関と連携した予防伐採の推進に取り組んでおります。
 本年度は、地域局ごとに、県、市町、電力事業者等で構成する推進連絡会を設置し、関係機関からの要望を踏まえ、優先的に予防伐採を行う箇所の選定や、実施に当たっての役割分担等の調整を進め、調整が整った磐田市をはじめ4市におきまして、予防伐採を実施しております。
 県では、予防伐採を推進するため、地震・津波対策等減災交付金のほか、県管理道路の法面対策や森林の面的整備を行う森の力再生事業などを、積極的に活用することとしております。
 予防伐採を実施した地域の方からは、「台風による大規模停電の不安が解消された」などの評価を頂いておりますが、一方、市町からは、森林所有者等、関係者との調整に時間を要することや、市町の財政負担が課題との御意見も頂いております。
 県といたしましては、これらの御意見も踏まえ、課題解決に向けた検討を進め、予防伐採の計画的な推進に取り組むことにより、近年多発する災害時の大規模停電への備えを強化して、県民の皆様が安全・安心に暮らしていただける災害に強い県土づくりに努めてまいります。
 以上であります。



4.乳幼児期からの難聴児支援の充実について

(野崎質問)

 次に、乳幼児期からの難聴児支援の充実について伺います。
新生児の1,000人に1人程度の割合で、先天性の難聴児がいると言われています。
 しかし近年では、医療の発展により、人工内耳を早期に装用し、適切な療育や支援を開始することにより、難聴児であっても、就学時には、健聴者同様の音声言語を獲得できるようになりつつあります。
 県では、平成22年度に県立総合病院内に「静岡県乳幼児聴覚支援センター」が設置され、高木明先生を中心に、難聴児の早期発見と早期介入の体制整備に取り組んで来た結果、新生児聴覚スクリーニング検査から確定診断まで、医療と行政が一体となった、難聴の早期発見体制が構築されています。
 こうした取組が、先進的優良事例として、昨年度、厚生労働省による「健康寿命をのばそう!アワード(母子保健分野)」において優秀賞を受賞しました。
 今年度、我が会派では難聴対策議連を立ち上げ、乳幼児聴覚支援センターの視察や勉強会を開催し、難聴対策に関する認識を深めているところです。
 そこで高木先生は、人工内耳を装用したとしても、すぐに健聴者のように聞こえるわけではなく、音声言語習得のための根気強いリハビリテーションが必要であり、これまでの早期発見体制に加え、今後は、療育体制の充実が重要である。と強調されました。
 こうした課題解決を図るには、中部地域に設置されている「静岡県乳幼児聴覚支援センター」の機能を県下全域に提供していくことが大切です。
 また、国が昨年度発表した「難聴児の早期支援に向けた保健・医療・福祉・教育の連携プロジェクト報告」では、3歳未満の難聴児の支援について、特別支援学校においては乳幼児教育相談で対応していますが、充分な体制ではないとの指摘がされています。
 同報告書では、就学前の療育について、保健・医療・福祉・教育の各機関の連携を強化し、難聴児が個々の状況に応じて柔軟に療育を受けられるよう取り組む必要があるとされており、本県においても同様の取り組みが求められています。
 難聴の早期発見、早期の適切な療育が、子供の発達に大きな影響を及ぼすことを踏まえ、特に0歳から3歳児までの療育体制の更なる充実や難聴児に対する切れ目のない支援を図るため、県は今後どのように取り組むのか伺います。

(出野副知事答弁)

 乳幼児期からの難聴児支援の充実についてお答えいたします。
 本県では、県立総合病院に設置した乳幼児聴覚支援センターを中核に、県内全ての分娩取扱機関や市町と連携した全 国に誇れる新生児聴覚スクリーニング検査体制を整備いたしました。
一方、人工内耳を装用した難聴児が、効果的に音声言語を獲得するためには、できるだけ早い時期から人工内耳に対応した適切な療育を受けることが重要と考えております。
 このため、乳幼児聴覚支援センターにおきまして「きこえを育む親子教室」を開催し、人工内耳を装用した乳幼児に対して音声言語の発達に向けた訓練を行いながら、保護者に対する訓練方法の指導や相談支援を行っております。
 今年度は、センターの言語聴覚士が東部地域や西部地域に出向いて教室を開催しており、身近な地域で療育支援を受けられる環境の整備にも取り組んでおります。
 また、保健・医療・福祉・教育の関係者で構成する「聴覚障害児支援対策委員会」を新たに立ち上げ、関係機関の知見に基づき、より効果的な訓練方法の検討を行っているほか、聴覚特別支援学校が行う乳幼児への教育相談の充実に向け、言語聴覚士を派遣し、人工内耳を装用した乳幼児ごとに言語能力を評価・分析して、より良い指導方法について教員に助言等を行うこととしております。
 県といたしましては、今後とも難聴児支援の先進県として、関係機関が連携した切れ目のない支援体制を充実し、全ての子供が希望を持って暮らせる“ふじのくに”づくりを進めてまいります。



5.人・農地プランによる農地バンク事業の推進について

(野崎質問)

 次に、人・農地プランによる農地バンク事業の推進について伺います。
 国では、平成25年に閣議決定された日本再興戦略の中で、令和5年度までに全農地の8割を目標に担い手への農地集積を進めるとしており、県では、経済産業ビジョン(農業・農村編)の中で、農地中間管理機構を活用した農地集積面積の目標を年間1,200ヘクタールとして農地集積を進めるとしています。
 高齢化や農産物の価格低迷により小規模農家の離農が進む地域においては、複数の地権者の農地を地域内の中心経営体となる、担い手に集める、農地利用の方針を「人・農地プラン」の話合いにより、定めることが、農地バンク事業による集積を進める上で、有効な対策であると考えます。
 しかし、農地バンク事業は、農地バンクが農地を借り入れ、まとめて担い手に貸し出す仕組みであることや、賃料支払事務についても農地バンクが行うため、従来の農業経営基盤強化促進法による利用権設定と比較して、契約に係る行程が多く、事務手続きの増大が課題となっています。具体的にいえば、磐田市においては、水稲の担い手一人が、農地の貸付者147人、土地の筆数では353の契約を行う事例もあり、今後、集積・集約化の機運が高まるとともに、満期契約に伴う再契約が増大する時期とも重なり、円滑な推進に支障が出ることが懸念されます。
 我が会派では、そうした懸念を払しょくするため、今議会において「農地バンク事業の満期更新時の手続簡素化を求める意見書」を提出しているところでもあります。
 そこで、農地集積の設計図である、「人・農地プラン」作成後の農地バンク事業の課題と今後の県の取り組み方針を伺います。

(農林水産担当部長答弁)

 人・農地プランによる農地バンク事業の推進についてお答えいたします。
 人・農地プランは、地域の農地を将来的に誰が担うかを地域の話し合いの下に見える化するものであり、現在、213地区でプランの作成が行われております。
 プランに基づき農地バンク事業を進めてまいりますが、地域内に担い手がいない、いわゆる担い手不在地区への対応や生産性の低い農地の改善などが、農地の集積・集約上の課題であります。
 このため、担い手不在地区への対応につきましては、今年度から、市町を越えて農地と担い手のマッチングを専門的に行う「人・農地調整員」を農地バンクに配置いたしました。これまでに130か所の担い手不在農地の現地調査と、地域を越えて規模拡大意向のある23の経営体へのヒアリングを終え、マッチングに着手したところであります。
 生産性の低い農地の改善につきましては、人・農地プランを作成した、例えば掛川市東大坂地区や川根本町下泉原地区で、農地集積を条件に地元負担金を軽減できる基盤整備事業を活用して、区画整理や暗渠排水整備により耕作条件を改善した上で、担い手に集積するよう進めております。
 また、農地バンク事業は、議員御指摘のとおり、事務手続の行程が多いことが課題であります。このため、県は、農地バンクに対し、国庫補助事業を活用して、農林事務所に駐在する職員9名の人件費や、事務手続を補完していただくJAへの委託料を補助いたしまして、事務処理の円滑化を図っております。あわせて、事務量の更なる増加に備えて、満期を迎えた再契約の事務を簡素化するなどの制度改正につきましては、国に要請してまいりたいと考えております。
 県といたしましては、これらの取組により、人・農地プランを活用した農地バンク事業による農地の集積・集約を確実に進め、地域農業の発展を図ってまいります。
 以上であります。



6.新磐田スマートインターチェンジを活かす道路整備について

(野崎質問)

 次に、新磐田スマートインターチェンジを活かす道路整備について伺います。
 現在、磐田市においては、新東名高速道路新磐田スマートインターチェンジの整備が、令和3年初夏の開通を目指して、進められています。
 本スマートインターチェンジの開通は、企業進出による雇用の創出、大規模災害時の避難や受援の円滑化、救急搬送時間の短縮など、磐田市北部地域の活性化や安全・安心の向上に寄与するものですが、その効果を市内に広く波及させるためには、南北軸となる道路の整備が必要不可欠と考えます。
 新磐田スマートインターチェンジから、開発の可能性を秘めた磐田原台地や磐田市の中心部を経由して、防災港湾である福田漁港に至る南北軸は、新東名高速道路、東名高速道路、国道1号バイパスなどの幹線道路を接続する非常に重要なルートでありますが、この一部を構成する県道横川磐田線の磐田・袋井市境付近には、幅員が狭く、線形も悪い未整備の区間が残っており、円滑な交通の妨げとなっています。
 この未整備区間による交通支障が解消されれば、磐田市のみならず、森町、袋井市を結ぶ幹線ルートが確保され、県が進める“ふじのくに”のフロンティアを拓く取組に繋がることは間違いありません。
 そこで、新磐田スマートインターチェンジ開通の効果を広く地域に波及させるための、磐田・袋井市境付近における県道横川磐田線の整備に向けた今後の取り組みを伺います。
 以上、答弁を求めます。

(交通基盤部長答弁)

 新磐田スマートインターチェンジを活かす道路整備についてお答えいたします。
 磐田市が整備を進める新磐田スマートインターチェンジは、市の都市計画マスタープランにおきまして、その周辺が産業拠点に位置付けられるとともに、東名磐田インターチェンジ周辺の産業拠点との間を既存の整備済み道路による産業軸で結ぶ計画とされました。
 この産業軸を構成する県道横川磐田線は、磐田市中心部から北部地域への南北軸を構成する重要な路線であり、県はこれまでも交通量や効果等を考慮し、整備をしてまいりました。しかしながら、磐田市と袋井市の市境周辺には、議員御指摘のとおり未改良区間があり、平成30年度に磐田商工会議所から県に対して、スマートインターチェンジへのアクセスを強化するための早期整備が要望されました。
 このため、昨年度、県が磐田市と袋井市とで構成する勉強会を立ち上げ、今年度は未改良区間の拡幅案とバイパス案につきまして、費用対効果や実現性の観点から比較検討を進めているところであります。
 来年度は、地元調整を開始するとともに測量・設計を実施するなど、事業化に向けて準備を進めます。
 県といたしましては、引き続き、両市と連携して当路線の整備に向けた取組を進め、新磐田スマートインターチェンジの開設による効果を高める道路ネットワークの構築に努めてまいります。
 以上であります。





Posted by しょうぞう力 at 16:10│Comments(0)
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